はてブで話題になっていた犬と餓死について。

材料は明日にも保健所にて殺される運命にある犬。様々な理由で捕獲され、衰弱の極みにある犬を鎖につないで飾る。ひどい虐待をするわけではなく、恐らく保健所に居ても同様であろう待遇を場所を美術館に変えて与えているだけだ。来訪者はこの異常な世界から犬を助けだし、平穏な我が家につれて帰ってもいい。
面白いのは、作品群を来訪者の手で何かしてはならない権威ある美術館の場で、勇気を出して俺が持って帰ると訴えねばならないことだ。

似たようなテーマの作品で過去に「金魚ミキサー」があった。同作品はミキサーという世界を金魚蜂にしたものだ。中で泳ぐ金魚たちはその危険性を理解できないが、外界からのスイッチを入れられればたちどころに世界は崩壊してしまう。来訪者はミキサーが動作してしまうのかどうか気にしながら、スイッチを押す誘惑に葛藤する。非常にショッキングな作品だ。
金魚ミキサーは製作物だけで完結していたように思える。だが、犬と餓死は創作者、成果物、来訪者の3つが居合わせて完結する作品と思われる。

まったく悪趣味のひとことに尽きる。来訪者を挑発して嫌な気分にさせたいのか、と非難されても仕方が無い。生き物の生き死にや手を差し伸べれるけど面倒だ嫌だと葛藤をテーマに創作するなら、尻からハリガネムシがはみ出たカマキリムシを使えばいい。小さくて目に触れても心が痛まない適当な生き物を使えば大事にはならないのだ。可愛く賢いお犬様を使うなんて酷い話だ。
ただひとつ興味があるとしたら、犬の側から見て来訪者がどんな反応をしていたかだ。
どんな顔で犬を眺め、どんな言葉を口にしたのか。どのような性質の人がどんな反応を見せたか。犬を引き取りに出た人はいったいどんな感情を顔からにじませて創作者から受け取ったのか。怒りか、哀れみか、死を免れた安堵か、ヘラヘラ笑っていたか。二人目は、三人目はどうだったか。
引き取った人がその後犬とどう接したか。一人目はとても愛情を注いだかもしれない。ならば二人目、三人目は、八人目はどうか。




そういったもろもろつぶさに集計し映像編集して発表してやると、非常にショッキングで胸糞悪い作品になるに違いない。